この本は特に定年後の働き方について書かれた本ではありませんが、定年後も含めてこれからの働き方についての示唆に富んだ本です。
橘玲さんは「お金持ちになれる黄金の羽の拾い方」で有名ですが、最近も「老後2000万円問題」から始まった年金問題についても、本質を突いたコメントをされています。
まずは「働き方2.0 vs 4.0」とありますが、働き方1.0から5.0までの定義です。
働き方1.0 年功序列・終身雇用の日本的慣行
働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
働き方4.0 フリーエージェント(ギグエコノミー)
働き方5.0 機械がすべとの仕事を行うユートピア/ディストピア
日本は長らく働き方1.0でしたが、今政府によって進められている「働き方改革」はそれを強引に働き方2.0に持っていこうとしていますが、それでも世界の潮流には追いついていないということです。
日本における年金や老後の問題は、寿命が延びて予想以上に長生きする可能性が出てきたこと、それに対して高齢化社会で支える側の人口が減ること、これらに対する不安を多くの人が持っているということです。
それに対する著者の提案は長く働くことで老後を短くすること、また世帯内で働き手を増やして収入を増やすことです。
そして長く働くためには自分の好きなこと、得意なことを仕事にすべきである、なぜならば長く続けられるし上達もするからと主張しています。
「自分の好きなこと、得意なことを仕事にすることが大切」というのはこれまで読んできた定年後に関しての本にも大体書かれていたことです。
しかしこの本の主張がユニークなのは、その提案は決して定年を控えた人たちのみならず若い人達に向けたメッセージでもあることです。
20歳から働き始めるとして70-80歳まで好きでもない仕事を続けるのは苦役でしかなく、そんなことは不可能だということです。
これからの時代は好きなことをマネタイズして生きていくしかない、もちろんそれが誰にでも出来ることではないけれども、と説いています。
ここでもやはり自分の人生に主体性をもって取り組むということが重要になるのでしょう。
筆者は「不安感が大きいのが日本の病理」と書いていますが、要はどうしても「そんなこと言われても無理だ」と考えてしまいがちだということです。
しかし、自分が動かなければ何も始まらないので、まず自分の頭で考えて動くということが重要だということを再認識しました。