かなり昔に見た映画をWOWOWで再度見るシリーズです。
今回は1976年作品でロバート・デニーロ主演の「タクシードライバー」、デニーロがアカデミー主演男優賞にノミネートされた有名な映画です。
多分大学生の時に名画座で見た映画だと思います。
海兵隊あがりで26歳のトラヴィスは不眠に悩まされており、夜間に走るタクシードライバーになります。
彼は社会から疎外されていると感じて孤独を抱えており、且つ麻薬・暴力・悪がはびこる社会を嫌悪しています。
そんな中、ひとめぼれした大統領候補パランティンの運動員ベッツィーをデートに誘いますが、ポルノ映画に連れて行ったため振られてしまいます。
さらに偶然出会った少女の娼婦アイリスに対して、こんな生活はやめるように説得しますが相手にされません。
徐々に精神を病んでいったトラヴィスは銃を手に入れ、社会の浄化作戦を実行すべくパランティンを狙撃しようとしますが果たせません。
その後アイリスの元に行き、彼女が属する売春組織の人間を次々に打ち殺し、自らも負傷しますがアイリスを助け出します。
トラヴィスは少女を裏社会から救った英雄としてマスコミに取り上げられ、アイリスの両親からも感謝されます。
傷の治ったトラヴィスはタクシードライバーに戻り街を流します。
およそ30年ぶりにこの映画を見て感じたのは、映画「ジョーカー」との類似性です。
どちらの主人公も元々悪ではありませんが、社会から疎外され続けて悪を実行することになります。
またストーリーとは関連ありませんが「ジョーカー」には「タクシドライバー」で主人公を務めたデニーロがアーサーに殺されるトーク番組の司会者役で出演しています。
ただ、「ジョーカー」の場合は主人公のアーサーが孤独を抱えるに至った理由は映画の一つのテーマとして詳しく描写されますが、「タクシドライバー」のトラヴィスは海兵隊あがりという以外は特に説明はありません。
また、どちらも主人公が精神を病んでいく過程において、思いを寄せた女性に相手にされなかったということがポイントになります。
ただ、「タクシードライバー」のベッツィーは選挙運動員の白人女性で社会的に上位のクラスですが、「ジョーカー」のソフィーは黒人でシングルマザーです。
この辺りはアメリカ大統領選挙でも盛んに言われた現在の白人労働者階級が置かれている状況を暗示しているのではないかと思いました。
これらの違いはありますが、どちらもアメリカ社会の病理を描いた作品として類似性があると思いました。