NOMOSANの定年準備日記

50代半ばを過ぎて、定年後を意識して始めた市民農園での野菜作りなど、様々な事柄について気のおもむくままに書いています

「僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた」を読んで

本書は新時代の依存症と言われる行動嗜癖について詳しく論じた本です。

かつては薬物など物質依存が問題となっていましたが、現代は行動依存が新しい依存症を生んでいます。

具体的にはスマホフェイスブック、インスタ、ネットフリックス、ゲームに依存してしまうことです。

その行動への依存を「行動嗜癖」と呼びます。

つまり行動嗜癖とは害があり、それなしでいることが難しくなった体験にみずから深く執着することを言います。

 

行動嗜癖に注目したのが依存症ビジネスで、その成り立ちとして下記6つの特徴があります。

 

  • 目標

目標があると人は達成しようとします。例えばウエアラブル端末でトレーニング目標を設定しておくと、体調が悪くても達成しようとする事は目標依存症と言われます。

 

  • フィードバック

この典型的な例が「いいね!」です。

「いいね!」というボタンがあり、それを押す(クリックする)ためにSNSがやめられなくなるもの行動嗜癖です。

 

  • 進歩の実感

「マリオ」が例としてあげられていますが、ゲームは初心者に対して最初は入りやすく簡単にして、はまりやすくデザインされています。

 

  • 難易度のエスカレート

「進歩の実感」と重なる部分もあると思いますが、徐々に難易度があがっていき「あとちょっと」と思っているうちに依存してしまいます。

 

ここではネットフリックスが例としてあげられていますが、最後に「崖っぷち」の場面を設定することにより、「ビンジ・ウオッチング」、つまりドラマ全話一気に気に見てしまいます。

 

  • 社会的相互作用

インスタグラムなどSNSで他人と比較したい、他人から承認されたいという欲求により依存してしまいます。

 

以上が依存症ビジネスの特徴ですが、それに立ち向かうために3つの解決策をあげています。

 

  • 特に子供に対して、予防は出来るだく早期に始める
  • 依存症は意志の強さで克服できないので、原因となるものを遠ざけるなどの「行動アーキテクチャ」で対応する
  • ゲーミフィケーション」つまり依存症ビジネスを逆手に取りゲーム化して行動嗜癖を克服する

 

行動嗜癖について解りやすく説明してあり、それに基づいて依存症ビジネスがどのように作られているかを説いた良書でした。

冒頭で「スティーブジョブスは自分の子供にiPad を与えなかった。つまり自分のさばく商品でハイになるな、という薬物売人の鉄則を守っているから」という記述があり、依存症ビジネスの本質をついていると思いました。

既に依存症の人は難しいと思いますが、まだそこまでいっていない人はこのロジックが解っていればある程度防げると思います。

特に「行動アーキテクチャ」は重要で、私もまずは枕元にスマホを置くことをやめました。

子供に対してもIT機器は時間を決めて使わせるなどの対応が必要と感じました。