これは1970-80年代のバンドであるトーキングヘッズのデイヴィッド・バーンと11人の様々な国籍を持つミュージシャンやダンサーによるブロードウエーのショーを映画にしたものです。
映画の原案となったのは2018年発売のバーンのアルバム「アメリカンユートピア」です。
スパイク・リーが監督を務めています。
冒頭で脳の模型を持ったバーンが登場し、「脳の中の繋がりは赤ちゃんの時が多くその後失われていく」と語り出し、その「つながり」が全体のテーマになっています。
バーンと11人のアーティストはグレーの衣装に身を包み、楽器は首からぶら下げて舞台の上を動き回ります。
舞台上はPAや楽器、配線もなく12人の動きだけのミニマルなステージが繰り広げられます。
トーキングヘッズの曲を含めて全部で21曲、既に60代後半にも関わらずバーンの良く響く声、11人のアーティストの演奏やダンスも素晴らしく、圧倒的なパフォーマンスが繰り広げられます。
映像も舞台正面や真後ろ、そして真上からも撮影されており、ものすごい臨場感があって引き込まれていきます。
最後の方ではBlack Lives Matterを訴えるプロテストソングであるHell You Talmboutが歌われます。
「アメリカンユートピア」のタイトルからも解るように、様々な問題を抱えるアメリカに対して、バーンの「つながりあうことにより解決していこう」というメッセージが受け取れます。
それは理想主義に過ぎないという批判はあると思います。
しかし、そのようなメッセージはさておき、バーンの知性とウイットに富んだMCも含めて、純粋にショーとして楽しむことができる映画でした。