NOMOSANの定年準備日記

50代半ばを過ぎて、定年後を意識して始めた市民農園での野菜作りなど、様々な事柄について気のおもむくままに書いています

銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイヤモンド著)を読んで

新型コロナによる在宅勤務の増加によって時間が出来たので。今まで読もうと思って中々読めなかった本を読んでいます。

この本は20年以上前に出版されましたが、文庫本でも上下巻1000ページ近くあり手がつきませんでした。

感染症も一つのテーマで今の状況にも通じるところがあると思い、意を決して読むことにしました。

 

この本は最初に著者が書いている通り、「なぜ、人類社会の歴史は、それぞれの大陸によってかくも異なる経路をたどって発展したのだろうか?」という謎を解き合わすものです。

結論から先に言うとその答えは「歴史は、異なる人々によって異なる経路をたどったが、それは、人々がおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」という筆者の要約の一文で表わされています。

 

環境として最も有利だったのはユーラシア大陸で、その違いというのは下記の4つに集約されます。

  • 栽培化や家畜化が可能な動植物の多数分布していた。食料生産によって余剰食物が生まれ、人口が周密な大規模集団の発生に繋がり技術面:政治面・軍事面で発達した。またそれによって家畜由来の伝染病に対する免疫力を獲得した。
  • 伝播や拡散の速度が大陸によって違い、東西に長いユーラシア大陸は有利だった。作物や家畜の生育は気候に影響を受けるので、南北方向に伝わるのには時間がかかり、東西方向への伝播の方が容易だった。
  • 大陸間の伝播でもユーラシア大陸は有利だった。南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸は隔てられていた。
  • 大陸の大きさや総人口も影響を与えた。

 ヨーロッパが新世界を植民地化できたのは、銃器・鉄製の武器、騎馬などによる軍事技術、ユーラシアの風土病・伝染病に対する免疫、航海技術、集権的な政治機構、文字をもっていたことによります、

 

ではなぜそれをヨーロッパが持つに至ったのか?

その理由が上記4点でユーラシア大陸が有利だったということです。

 

ではなぜユーラシア大陸の中で中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのか?

中国は早くから東一されていて高い技術力がありました。

例えばは「鄭和の南海遠征」などで早くからアフリカ大陸などに船団を送り込んでいましたが、官邸内の対立によりやめてしまいます。

このように統一されていたがゆえに技術的、政治的な発展が阻害された面があります。

逆にヨーロッパは統一されていなかったために各国が切磋琢磨して、新大陸への航海なども行いました。

こうして環境的な有利さによってヨーロッパの人々が派遣を握ることになりました。

 

この本のタイトルの一部である「病原菌」について、現在のコロナの状況を鑑み改めて考えさせられました。

ヨーロッパ人の新大陸征服には彼らが持ち込んだ感染症の病原菌が大きな役割を果たします。

免疫を持たない原住民を滅ぼしたり劇的に人口を減らしたしたからです。

病原菌は過去からずっと人類の脅威で、おそらく完全には克服できないことがわかります。

 

また、「なぜ中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのか?」というくだりも現代に関連する話で非常に興味を持ちました。

中国は現在統一されているのみならず一党独裁です。

共産党の号令下である程度発展はするでしょうが、やはり多様性を重視している西側には最終的には勝てないのではないかというのが歴史からの学びによる推測になると思いました。。