NHK BSの「英雄たちの選択」でも有名な脳科学者の中野信子先生の書いた「キレる」を読みました。
脳科学の視点から「キルる」ことについて分析した本です。
キレる原因から始まって「キレる人との付き合い方」「キレる自分との付き合い方」「戦略的なキレ方」と続く非常にためになる本でした。
まずキレル原因は下記のようにいくつかのパターンがあります。
①怒りの原因と主に考えられる脳内物質はノルアドレナリンとアドレナリン
ノルアドレナリンで興奮状態になり更に偏桃体の反応で不安や恐怖が増してキレる が、持続効果は短い
②時間がたっても怒りが収まらない場合は前頭前野の機能が低下しているから
前頭前野は理性、思考、感情、意欲をつかさどる
前頭前野は老化により委縮するのでキレる老人になる
老化では眼窩前頭皮質も委縮して、相手に同調できなくなりにより頑固になる
③前頭前野の機能が逆に強すぎる場合は自分が怒る正当な理由があると思い込み激しく切れる
この時、快楽物質ドーパミンが出てブレーキが利かなくなる
③思春期の男子はテストステロンの分泌によりキレやすくなる
③家族間では愛情ホルモンのオキシトンにより、「外集団バイアス」と「社会排除」から相手の行動が許せずキレる
つまり愛情が強いゆえに許せない状況が出来てしまうということ
④安心ホルモンのセロトニンの作用が低いと自分が損しても相手の利益を阻止しようとする
キレるパターンやキレる人の属性ごとにその主たる原因を解りやすく説明しています。
つぎにキレる人との付き合い方ですが、これも相手の属性やパターンによる対処方を説明しています。
この中で年をとってからキレないためすべきことが下記があげられています。
①脳の劣化が原因(前頭葉や海馬)なので脳を鍛える
②コミュニケーションをとる
③セロトニンを分泌させるトリプトファン摂取のため肉やナッツを食べる
④適度な運動
最後にキレる自分との付き合い方の様々な方法が列挙してあります。
①自分の行動を客観視する能力(メタ認知)を身につける
②愛情ホルモンオキシトシンを増やす→スキンシップやライブコンサート
③店員や道すがらあった人にキレる人は誰が見ているかわからないと考える
④売り言葉に買い言葉にならないように相手の言葉に直接反応しない
⑤不安にならないようにセロトニンを増やす
タンパク質をとる、日光を浴びる、ゆっくり入浴する
年をとるとやはり怒り易くなるような気がします。自分でも自覚があるので気をつけたいと思いました。
対策としてはこれまでに本で読んだりテレビで見たりしたものがほとんどでしたが、改めて意識したいと思います。
特に脳内物質関連については実際に効果が大きいと思うので食生活、運動など気を付けたいと思います。
特に目新しい内容がありませんでしたが、「キレる」ということを脳科学の側面から理解し、キレる人に対してと自らが獲りべき対策、なるべくキレる人にならないための対策が簡潔にまとめられた良書でした。